子どもたちや住人、地域で働く皆さんの健康を守る。
病気になったお年寄りを診て、最後をみとる。地域の有床診療所に求められるのは、医師がしたい医療ではなく、地域のニーズに応える医療に尽きます。そうすると、古いかもしれませんが、自然に「ゆりかごから看取りまで」とい考えに至ります。

朝から夜までの診療に加え、子どもが病気になっても親が安心して仕事に行けるようにと、同院の４階に病児保育ルームを設けたのもその一環です。また隣接する姉妹施設の有床診療所『内科いこいの家』を増床して２９床の老人保健施設としてリニューアルしたほか、２つのグループホームを併設。
さらに訪問看護や介護サービスも積極的に展開するなど、高齢化対策に注力しています。



同院のある児島地区の高齢化率は３３％
さらに、お年寄りの二人暮らしは全世帯の４分の１、一人暮らしの世帯は１５％を占めます。
「もう周りの誰かがお年寄りをみる」という段階ではありません。

短期入院や施設介護、さらにターミナルができる体制をしっかり整えるには、我々のように医療機能を持つところが請け負っていくしかありません。
しかし、スタッフの維持などを含めて、ハード面の拡充には限界があります。
このため、最近ではソフト面、特に情報共有の推進に努めています。
医師会と一緒になって、緊急連絡先や診療情報など、いざという時に必要な情報を地域で共有できるような仕組みをいろいろ考えています。

入院中のお年寄りは、都会に出ていた子どもや孫たちが見舞いに来ると皆笑顔で迎えますが、見舞い客が帰った途端、急に暗い顔になる。
理由を尋ねると「別れ際になるとこれが最後になるかもしれない」と思うのだそうです。
最後の瞬間は、子どもや孫、仲間たちがいるところで迎えたいと皆が思っているはず。我々が目指しているのは、そんな気持ちに応えられるような環境づくりです。

お年寄り・患者様への想いと社会的責任感を胸に、日常診療に加え、地元・児島医師会の副会長として地域医療に貢献すべく日々奮闘しております。